7S36搭載SEIKO 5 SPORTに4R36を載せる! その3
「7S36搭載SEIKO 5 SPORTに4R36を載せる! その2」の続きです。
今回は、最後の課題であった巻き真を加工していきます。
といっても、旋盤での新規制作というわけではないので
そんなに大がかりではありません。
こちらが先日用意した4R36の巻き真とSNZF17の竜頭。
まず、巻き真のカットから行いましょう。
巻き真をそのまま扱うには不安定なので四ツ割に掴んで扱います。
そして竜頭を仮止め。
これを機械に差し込み、
どれくらいカットしなければならないかノギスで測ります。
今回の場合では、およそ6mmでした。
切り過ぎてしまうと巻き真が無駄になってしまうので5.8mmでカットします。
で、カットする場所の印はどうしようかと一瞬悩みましたが、
とりあえずロディコでマーキング。
長い分をニッパーでカット。
切れました。
この後、カットした断面をヤスリで削って綺麗に処理するのですが、
やっぱり、削ったあとはダイスをかけないとダメですね。
ネジ山が変形してしまっています・・・
これはベルジョンのタップ&ダイスセットを用意しないといけません。
仕方がなかったので今回は余っていた他の竜頭をねじ込んで
強引にネジ山を立て直しました。
切断面を綺麗に処理したら、ベンジンで洗浄します。
次に、竜頭を接着するための『ロックタイト242』を用意。
器に取ると後処理が面倒そうだったので薬包紙に少量垂らして使いました。
再度巻き真を四ツ割で掴んで、ネジ部にチョイとロックタイトを付け、
竜頭をねじ込み硬化時間10分置いて完成。
こちらが出来上がった4R36版SNZF17用巻き真(下)です。
上が従来の7S36版SNZF17用巻き真。
長さ調整はバッチリ!
最後に、機械に差し込むときは巻き真にグリスを塗らなければなりません。
塗るのはメービス8200と、ゴムパッキン用のシリコングリス。
残念ながら4R36の資料が見つけられなかったので、
他のセイコームーブメントの注油ポイントを参考にしてグリスを塗布しました。
ジャーン!!
こちらが完成いたしました4R36版アップグレードSNZF17!
凄い!
まったく外見は変わらない!(泣
持ち主がニヤニヤしているだけで、
一般の人には全く理解されない自己満足カスタム!!
本当は竜頭も別のものに交換し、大きくしたかったんですが
もともと手巻き機能のないムーブだったので
ケースのほうもそれに合わせて竜頭ガード上下のスペースが狭く、
別のものに付け替えることはできませんでした。
これがちょっと心残りですね。
よし!
この流れで7S36版SRP129の巻き真も加工してしまいましょう。
まず、巻き真から接着されている竜頭を外します。
そのためには加熱用の半田ゴテが必要。
と、その前に竜頭からゴムパッキンを外し、オイルを落としておきます。
綺麗に洗浄したら、四ツ割で巻き真を掴みます。
ロックタイトの製品説明を読んだら『使用温度範囲(℃) -55~150』と
ありましたので、半田ゴテの先端温度がおよそ200~300℃であるとすれば、
加熱するにはこの方法で十分だと思います。
半田ゴテを十分に加熱し、
巻き真と竜頭の接合部分にコテ先を当てること1分。
火傷をしないように手袋をして少し力を加えると・・・
取れました!
ブラックの竜頭も熱で変色したりはしていません。
根元から折れたらどうしようかと思っていたのですが、
完璧なまでに綺麗に取れましたね!
これで新しい巻き真が取り付けられます。
SNZF17と同じ作業をして巻き真を加工し、SRP129に取り付け。
長さもピッタリで全く問題ナシ!
7S36版ダウングレードSRP129の完成です!!
さて、全3回に亘ってお送りしてきました、7S36搭載機に4R36を載せる企画。
これにて無事終了です。
作業としては特に問題が発生することもなく、
全てが順調に行えたと思います。
なにか課題があるとすれば、
4Rと7Sで外見上の違いはありませんので、SRP129の方を
針や文字盤などを社外パーツでカスタムすれば良かったかな、と。
SNZF17の方はそのままでも超恰好良いモデルなので
あえて弄る必要もないと思っています。
とりあえず今回はここまで。
っていうか、お金と労力をかけて弄らずとも素直に6R15搭載機の
SEIKO PROSPEX 『SBDC001』を買えばいいんじゃね?っていうツッコミは
無しでお願いいたします(爆
コメント
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コメント (2)
整備実力の上達速度がすごいですね。
わたしはダイヤルと針を変えましたが、まだキャリバーの分解はできていません。
ぜひ7S26(36)完全分解の完全解説と再組み立ての解説をよろしくお願いしたいです。
ninjafighter.blog.fc2.com/blog-entry-922.html
NINJA300さん
いつもコメントありがとうございます。
SEIKO 5は海外で社外針がいろいろ販売されています。
そのカスタムで面白さを加速させていますね。
7Sの分解・組立ですが、いつか完全解説をやってみたいと思います。
いつ行うかは、作業自体に「テーマ」を見つけることができた時でしょうか。
分解・組立を行うにあたっての動機と言いましょうか、
「何を学びたいから行うのか」、それを明確にしたいですね。
おそらく7Sであれば、マジックレバー周りの構造確認か、
7S、4R、6R、8L、9Sの系譜の研究目的でバラすのがいいかもしれません。