ETA2892-A2 姿勢差の調整 その1
前回「ETA2892-A2の調速」でテンプ交換したばかりのものを調整し、
とりあえず平置きで日差、振り角、方振りを及第点にまでもっていきました。
今回は、姿勢差を無くしていきます。
先の調整で、タイムグラファーで出ていた二重線を消すため、
緩急針(2本のヒゲ棒)のアオリを広げていました。
これを狭めて元の状態に戻そうと思います。
時計の角度による精度の差、姿勢差の目標は10秒にしましょう。
まず、現状の精度の確認です。
[文字盤下]
日差:0s/d
振り角:312°
片振り:0.1ms
まぁ、いいでしょう。
姿勢差はどうでしょうか?
6姿勢で計測してみました。
うわ・・・
平置き0秒なのに縦姿勢だと+34秒とか有りえない数値が出ています。
これは酷い。
早速、作業していきましょう。
ヒゲ棒の調整ですが、ETAはエタクロンという方式で緩急針のアオリを簡単に
調整できるようになっています。
赤い印で書いた部分。
赤の点はヒゲ棒のある位置です。
ヒゲゼンマイが通る幅を最大にしたい場合は下図のようにします。
アオリを狭めたい場合は、このように回転させるだけ。
実に簡単ですね。
さすが優良量産機。
実際に回転させて、アオリを調整しましょう。
ピンセットで挟みながらチョイと動かします。
※このやり方で良いのでしょうか? 専用工具アリ?
タイムグラファーで状態を確認。
やはりヒゲゼンマイとヒゲ棒の当たりが崩れたのか、二重線になってしまい
ました。
これをヒゲ持ちを少し回転させて改善させます。
一本線になりました。
しかも日差も同時に改善しています。
でもまだ9秒進み傾向ですね。
この修正は問題ありません。
日差0s/d、振り角311°、片振り:0.0msになりました。
修正後、6姿勢をチェックしてみましょう。
おぉ!!
最大姿勢差11秒!
クロノメーターの最大姿勢偏差は10秒以内と定められていますので、
ド素人の一発目の調整でこの数値はかなり良いんじゃないでしょうか。
こちらが調整前の数値です。
劇的改善♪
これで実際に確認することができました。
「姿勢差を少なくするには、ヒゲ棒のアオリを狭くする」
よし。
歩度調整スキルがレベルUP!
良い調子です。
でも、まだまだ姿勢差の調整はやっていかなければなりません。
一番使われる角度の歩度を優先し、さらに全体の姿勢差を改善していく必要が
あります。
それと、計測中に一つ気になったことがあるのです。
それは文字盤を上にしたときのこと。
数値は悪くないのですが、ノイズを拾うというか、線が乱れるのです。
この原因は何なんでしょうか?
テンプ上側のホゾのオイルが足りない? 汚れ?
インカブロックのズレ?
ヒゲゼンマイが緩急針の天井に当たって擦れている?
う~ん、
どなたかご存知の方、いらっしゃいましたらご教授くださいませ。
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コメント (2)
アオリすぎてヒゲゼンマイが接触していると、画面の様になります。
ひげは横から見てできるだけ水平でなければいけません
ひげ棒間のひげはゼンマイがほどけた状態で中心になければなりません