タイムグラファーに現れる二重線の謎 その1
以前ご紹介した「時計学問題集」の内容の続報です。
昨年の12月に行ったETA2892-A2の調速で
タイムグラファーに現れた謎の二重線。
当時は「ヒゲゼンマイと緩急針(2本のヒゲ棒)の当たり方が問題」と
いうことでヒゲ棒のアオリ調整で解決したのですが、
この度、問題集の中にタイムグラファーに現れる二重線について
そのままズバリの解説が記載されていたのを発見しました!
——————————————————
問 記録式歩度測定器により振動数21600の腕時計を測定したところ、2本の記録線が得られた。このような場合、2本の記録線の間隔は片振りの程度を示しているといえる。
答 正
解説 てんぷは振動中に左右に交互に振っているが、左側に振っている時間と右側に振っている時間とに差があるとき、方振りがあるといっている。歩度測定器では、てんぷの振り石が停止解除のためにアンクルのはこに衝突したときに発生する音をマイクロホンでとらえて、記録紙に打点するようになってるので、てんぷの振り石が停止解除を行いアンクルからの衝撃(衝動)を受けて自由振動に移り、最大振り角からもどってきて再び停止解除のためにアンクルのハコに衝突するまでの時間が、入爪で衝撃されるときと出爪で衝撃されるときとで差がある場合、記録紙上に2本の記録線が打刻されることになる。そして、この状態を一般に片振りがあるといっている。一方、この時間が両づめで差がないときには、打刻される2本の記録線は重なり1本となる。そして、この状態を一般に片振りがないといっている。このようなことから、片振りが大きければ大きいほど2本の記録線の間隔は、より大きくなってくることがわかる。そして、どてピンを曲げてアンクルの停止する位置を変えたり、また、可動ひげ持ち受やひげ玉を回転させて振り石の位置を変えたりすると、2本の記録線の間隔が変化してくることも理解できると思う。真に片振りのない状態とは、脱進機の中心線上に振り石の中心があり、アンクルのどてピンまでの振れ角の二等分線が脱進機の中心線に重なり、さらにアンクル中心も出ているときのことをいう。
——————————————————
なんとも細かな解説!
ちょっとまだ見つけただけなので読み込んでいませんが、
これは素晴らしい発見の予感がします。
この案件は是非とも完璧に把握しておきたい内容ですので、
後日、Flashによる動画も作成して皆様にも分かりやすいように
噛み砕いて説明していきたいと思います。
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (4)
やっぱ問題集は、解説があると資料性が段違いですね。
解答のみだと、受験用だけになってしまふ。
タイムグラファーの読み方は、メーカーの技術書なんかには
パターンごとに簡単な解説があったりします。
調整方法までは・・・載ってたっけ?
あとで漁って確認しておこう。
>やっぱ問題集は、解説があると資料性が段違いですね。
本当にそうですね。
正誤以上にその内容が重要ですので、
その点では今回入手した問題集は正解でした。
自分の場合、歩度調整はもう経験を積むというか、
「こう動かしたからこういう状態になった」という後追いです。
ある程度は理解してきましたが、本来は邪道なのでしょう。
片ぶりの調整はどうやれば良いのでしょうか?
NINJA300さん
片振りの調整はヒゲ持ちの位置を左右にずらしてあげれば調整が可能です。
以前のエントリーでご紹介していますので
よろしければそちらをご覧いただければと思います。
neez-watch.com/?p=4451