書籍『機械式時計入門』 (入門ではない…)
なんか、時計の書籍発行ラッシュみたいです。
今月はとりあえず3冊買いました。
1冊目はお馴染み、クロノスの最新号
そして、クロノスで連載されていた漫画「ムリやり時計ゼミ」をまとめた続編、
そしてそして、今回の大物はこちら!!
この本、すっごく内容が濃いです。
以前ご紹介した「機械式時計講座」ほどマニアックではありませんが、
機械式時計入門というタイトルは嘘ですね(笑)
まぁ、百聞は一見にしかず。
本の作り(レイアウト)はすっきりしていて綺麗です。
ぱっと開けば、そこにはいきなり機械式時計の時を刻む仕組みの紹介。
入門書にしちゃ、ちょっと早すぎませんかね・・・
そして、パラパラ捲っていくと気になる図解が。
オーイエー!
コラムホイール式クロノの図解でした。
正直、たまらんです。
と、ここまでは雑誌「世界の腕時計」のバックナンバーとかに載っているのですが、
ここからがこの本のマニアックなところ。
なんと、分解・組立の手順が写真付きで紹介されています!
これ、動画で見たいです。
まぁ、百歩譲って「クロノグラフ」の解説はよくある?記事ですが・・・
もっと凄いのがこちら。
「ジャンピングアワーの分解と組み立て」
えーっと、これは「入門」書???
いや、これはこれで嬉しいんですけど、
分解と組み立てをするジャンピングアワーをまず持っていません。
オマケに、分解している機種がフランクミュラーのクレイジーアワーですから、
ますますハードルが高いです。
次は間髪入れずに「トゥールビヨンの分解」
そしてまた、分解するのはフランクミュラー。
あー、やっぱり機械が美しい・・・。
魅入ってしまいます。
バラバラにした後のパーツ一覧もありました。
っていうか、トゥールビヨンの分解はまだ「中編」でした(笑)
ラスボスはパーペチュアルカレンダーの分解・組み立て!
分解の生贄は、またまたフランクミュラー!
手順が詳しく紹介されていますが、
いったいどれほどの人がこの機会に恵まれるのでしょうか。
実用性はともかく、資料としては凄く面白いですね。
こんな分解した状態はめったに見ることはできませんので、
時計オタクとしては目の保養にもなります。
あ、それから巻末のほうには現代とアンティークのパーツの違いなど
紹介されていますので、これもまた興味深かったです。
と、このような構成で、ページ数は160ページほどありますが、
図解多め、写真多めなので意外とサクっと読めますね。
機械式時計の魅力は、まさにメカニカルな部分にあると思うので、
こうした機構をクローズアップした本は、確かに機械式時計を「もっと知りたい」と
思っている人達には本当に嬉しい本になるでしょう。
それと最近、時計のこうしたマニアックな書籍がいくつか発行されていますが、
これはとても良い傾向ではないでしょうか。
やっぱり、時計業界を目指す人や時計に興味を持っている人で、
こうした本を望んでいる人達が沢山居たということです。
そして今の時代、一部の人向けの専門書も、
実際に店頭に並ばせることが出来なくても
ネットで購入することができるようになったのも大きいと思います。
このような感じで、洋書にあるような素晴らしい本が
もっともっと日本で発行されてくれればと願ってやみません。
コメント
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コメント (6)
コンプリケーションではなくて、7S26など汎用ムーブの解説本はないのでしょうか?または、どこかで手に入らないでしょうか?あのくらいならば、分解に失敗しても痛手はすくないと思うので、まずはそっちを分解してみたいという気がします。
NINJA300さん
コメント、ご指摘ありがとうございます。
実はこのエントリーを書いた後で、自分でも
「フランクミュラーは全部コンプリというわけではないよな」ということに気づき、
現在、フランクミュラーと汎用ムーブメントの一覧を作成しているところです。
ETA系なら入手も楽ですし、他メーカーのエボーシュでも
フランクミュラー以外のモデルでしたらもっと安価なものが手に入れられそうですね。
にしても、写真だけ見てもジャンピングアワーの機械の仕上げは美しいです…。
あぁそうか。
こういうのも参考にしてレポート書けばよかったなと
今更ながら思ってるBFNです。
受験用レポートも、7S26の分解手順そのものは参考になるからなぁ。
私も1冊買っておこうかしら。
BFNさん、お久しぶりです。
もし7S26分解の参考になるなら、同じスタジオタッククリエイティブから出ている
「機械式時計バイブル」が参考になるかと思います。
少し写真が小さいのが難点ですが、
分解・組立レクチャーをしている機械は「ETA 2892-A」と「エルプリメロ」です。
この本も、ヒコみづのジュエリーカレッジ監修で、
使用している道具の一覧もありますので、相当参考になりました。
こんにちは。初めて書き込みさせていただきます。
最近、機械式時計の分解・修理を見様見真似で始めた者です。
まず工具を揃えることからはじめましたが、精密でよく考えられたスイス製の工具を触っているだけでわくわくしております。
クロノスの”ETA2020年問題を問う”はとても面白くて久しぶりに時計雑誌を購入してしまいました。時計を分解してみて、初めてETAの偉大さ(部品が容易に取り寄せられること、精緻な作りで品質が安定していて耐久性があること)がわかりました。
いつも興味深い情報を提供してくださりありがとうございます。更新楽しみにしております。
toutetsu29510さん
コメントありがとうございます。
自分も今号のクロノスのETAの記事はとても興味深かったです。
各メーカー、特にエボーシュメーカーの考えが見られたのが一番の注目点ですね。
分解・組み立てに関しては、私は一貫して「知識、道具、経験」の三つを揃え、蓄積していくことが重要と考えています。
特に知識と経験の部分はあまり我々素人のところまで降りてくることはありませんので、私のような記事なんかで誰かのお役に立てることができたのなら、それは知識の共有と拡散ができたということで本望です。
今後も度々目を通して頂ければと思います。