侮るなかれ、コンビニ弁当の商品力。
時計とはあまり関係がありませんが、
セブンイレブンでとても感心したことがありました。
どうしても書きたかったので今回はそのお話です。
会社の近くのセブンイレブンに寄ったときのこと。
いつもは弁当持参なのですが、たまたま忘れてしまい、
コンビニで弁当を買うことにしました。
ちょうどその日は7月22日(月)、土用丑の日。
昨今、ニュースで取り上げられている鰻の価格上昇の話題もあって
買う気はなくても、それとなく鰻蒲焼弁当に目が行くものです。
ですが、私が注目したのは別の品。
鰻蒲焼弁当のとなりに並んでいた「炭火焼牛たん弁当」でした。
食べたかったから?
美味しそうだったから?
いやいや、違います。
炭火焼牛たん弁当という「商材」を鰻蒲焼弁当の隣に置いた、
ということに関心したのです。
それはもう、なんの迷いもなくレジに持って行ったほど。
即決。
なぜ関心したか。
ひとつはパッケージ。
その牛たん弁当は鰻弁当と同じパッケージを使用していました。
これは明らかに価格が高騰した鰻の替わりとして意図的にあつらわれ
用意されたものです。
鰻の替わりが牛タン?
そうです。
姿が似ているサンマやアナゴの蒲焼じゃありません。
牛たんという、鰻と同じような特別感のある商材です。
単品で勝負できる本物の商材です。
そこがポイントなんです。
土用丑の日は「暑い夏を乗り切るため鰻を食べて栄養をつける」
そうした風習から世間では鰻が食べられています。
また、現代人の我々の思考として、
・暑い夏は食べやすい蕎麦やそうめんばかりで栄養が偏りがち
・バテやすい時期こそ、栄養のあるものをガツンと食べたい
・冷たいものばかりではなく、温かくて味の濃いものが食べたい
・ボーナス出たから少しは財布に余裕がある
そもそも鰻は、こうした思考背景にピタっとハマってたんですね。
でも、最近は価格高騰で簡単には手が出せなくなってしまいました。
そうなったら、どうするでしょうか。
消費者が望むことは、
・スタミナ食
・温かい食べ物
・ガツンとした食べ応え
・ちょっとした贅沢
これを満たすこと。
そうです。
牛タンはこれにドンピシャだったのです。
あともうひとつ、丑の日には『う』の字がつく物を食べると夏バテしない
という言われもあります。
「牛」はこれにも外れていないんです。
つまり、鰻を食べる大義名分である「暑い夏を乗り切るため栄養をつける」
という、こうした消費者の要望を満たすことができれば、別にそれは
鰻でなくてもよかったのです。
そこに気付いていたセブンイレブンの商品開発。
下手にサンマやアナゴの蒲焼を提供するより、
ちゃんとした本物の商材で代替品を提案するほうがよいと判断したこと。
私はここに大いに関心したのでした。
もちろん価格設定でも抜かりはありません。
「炭火焼牛たん弁当 680円」
価格が大幅に上がってしまった鰻の下をくぐる実にいい価格帯です。
ちょうど数年前の鰻蒲焼弁当の価格と同じくらい。
それでいて安すぎない。
弁当のメイン価格帯であるワンコイン500円は上回りますが、
鰻蒲焼弁当を買おうと思っていた人には凄くお手頃に映るでしょう。
こうした消費者の要望を満たす商品を発見すること。
そしてそれを適正な価格で適正なタイミングで提供すること。
これがまさに「仕事」なんですよね。
メーカーであればそうした商品を作る。
商社や問屋、小売であればそうした商材を仕入れる。
ようはニーズに気づけるかどうかなんです。
形にできるかどうかなんです。
題材にあげたコンビニ弁当1つとっても、
裏ではそうした「仕事」がなされている。
今回、セブンイレブンの店頭を見て改めて考えさせられたのでした。
コメント
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コメント (2)
セブン&アイの好調を一手にささえるのがセブンイレブン。
POSなどから、仮説を立てて検証する作業が常時行われているみたいだね。
www.sej.co.jp/company/aboutsej/info.html
あ、O氏
わざわざこっちにコメント、サンクスです。
セブンのPOSは徹底したPDCAサイクル(それも短いスパンで回す)で
品揃えをしてますなー。
うちの社長が、地元ヨーカドーの支配人から聞いた話によると、
昔はまだPOSが完璧じゃなくて、カットしたい商品が店頭からなくなると、
自動発注システムが「欠品」と認識して発送の段取りをしようとしていたとか。
あとは「近所の学校で運動会があるからお菓子を多めに」とか、
そうした地元の行事を反映した品揃えはPOP情報だけではカバーできないから
最終的には店長の情報収集能力が頼り、ってことらしいです。