ニュース『デトロイトで高級腕時計 米製造業復活の象徴めざす』
ちょっと変わったニュースを耳にしました。
なんでも、米デトロイト市でベンチャー企業が時計製造を始めたそうです。
日経新聞:
TechCrunch Japan:
アメリカの製造業を復活させたい–デトロイトのShinolaが“スローな工場”で高品質を目指す
Shinola(シャイノーラ)
デトロイトといえば自動車産業ですが、
現在ではかなりの財政難で半ばゴーストタウンと化していますね。
Google MAPなどをみると本当に酷いものです。
自分もこのニュースに興味を持ったので、
シャイノーラという会社がどのような時計を作っているのか、
少し情報収集をしてみました。
現段階ではどうやらクォーツムーブメントみたいですね。
これから先の展開でメカニカルムーブメントに手を出すのでしょうか?
画像や動画を見る限り、 一応ムーブメントの組立作業を社内で行っている
ようです。
代表的なモデルは日本でも買えますね。
送料込みで86,900円。
上のサイトでムーブメントの型番が表記されていました。
「Argonite 1069 movement.
46 piece quartz movement made with Swiss」
Argonite 1069というのは、スイスのロンダ社の製品です。
つまり、ロンダからパーツを手配して自社で組み立てを行っている、
シャイノーラの時計作りはそういうスタンスなんですね。
ちなみに、このロンダ1069、完成品をネットで買えちゃったりします。
お値段は、税込4,725 円・・・
うーん、いくら自社組立とはいえ売価で8万円は高いですよ。
やはり会社というのは、売上を上げて事業継続に必要なお金を得ることが
絶対条件ですから、売れなければ将来的にこの時計事業自体、
消滅してしまうかもしれません。
こうしたチャレンジ精神あふれる試みは是非とも応援したい
ところなのですが、ちょっと先が見えないかも。
なんとも残念です。
仮に、ある程度売り上げが上がれば、自社でメカニカルムーブメントの
生産開始、なんて更なる展開にも希望が持てます。
自分が受けた印象として、
このシャイノーラという会社は、時計を作ることが目的というよりも
デトロイトで時計を作ること自体が目的、すなわち自動車産業のような
モノづくりの土台そのものをもう一度作ろうとしているのかもしれません。
コメント
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コメント (2)
RONDAのムーブメントの価格が5,000円弱として、ベルト、ベゼル、裏蓋、クリスタルガラス、文字盤、ASSY工賃、梱包箱等含めていくらだと妥当なのでしょうか??
シャイノーラがどこまで自社生産しているかはまだ調査を行っておりませんが、一般的にベルトやケース、ガラスなどを中国の部品サプライヤーから購入するとして、金額は大体↓のようになります。
■ガラス1枚=1ドル30セント (160円)
ja.aliexpress.com/w/wholesale-parts-watch/7.html
■ステンレスバンド=4ドル85セント (600円)
ja.aliexpress.com/wholesale?SearchText=watch+band&catId=&initiative_id=SB_20150531183449
■ケースは10セント~30ドル。
www.alibaba.com/product-detail/OEM-and-ODM-empty-watch-case_1815046906.html
時計を入れる箱は、安いもので1ドル~5ドルといったとろこでしょうか。
そしてムーブメントは単品での小売りが5,000円程度なので、
粗利30~40%と考えて、仕入れは3,000円以下でしょう。
その他もろもろのパーツを含めても、時計1本5,000円~8,000円で用意できると思います。
ここに人件費や家賃、光熱費などの経費、それと粗利を上乗せして、売価にすると、
25,000円程度が現実的なのではないでしょうか。
シャイーラの場合、
・初期投資の資金回収
・アメリカでの必要人件費の確保(人材育成含む)
・少数販売でボリュームディスカウントによりパーツを安く手配できない
などなどの諸事情があり、あまり値段が下げられないのだと思います。