腕時計の大型化と機能的恩恵 2
時計は時間を指し示す道具ですから、より正確でなければなりません。
ですが、クォーツ時計とは違い機械式時計は1日に数秒ほど狂います。
この時間の精度を上げることがメーカーの腕の見せ所でもあるわけです。
はてさて、時計の制度を上げるためにはどうしたらよいでしょう?
極論を言うと、
「テンプを規則正しく振らせる」
この考えに行き着きます。
機械式時計は、ガリレオが発見した「振り子の等時性」を応用しています。
「振り子の振動周期は、おもりの重さに関係なく長さのみで決まる」という
原理です。
規則的なリズムが得られれば時計が作れるのですが、この「振り子の等時性」
をそのまま時計に応用するにはまだ欠点がありました。
「振り子の等時性」は振幅が小さいときだけの話で、振幅が大きくなると
ずれが生じるのです。 それでいて、振幅が小さいと慣性モーメントが小さく、
外乱の影響を簡単に受けるというジレンマ。
この解決策を発見したのがホイヘンスです。
振幅が大きくても振り子の等時性を維持する方法を発見し、振り子時計を実際
に完成させました。
現在の腕時計では、振り子は円形のテンプという形となり、
どの方向に傾けても振幅するようになっています。
本題に戻りますが、テンプを規則正しく振らせるにはどうしたらよいか?
また極論を言うと、
「テンプを外乱に強くする」
具体的には、
・テンプの振り角の確保し、外乱の影響を少なくする
・テンプの振動数を増やし、外乱の影響を少なくする
・ゼンマイトルクを安定させ、テンプに伝えるトルクを一定にする
などなど―
他にも多数ありますが、一番簡単なのはテンプを大きくして慣性モーメントを
稼ぐ方法です。 つまり、力強い大きなゼンマイを使って、大きなテンプを
ぶん回してやれば時計の精度が上がるのです。
メリットその2:時計の高精度化
近年のムーブメントの大型化は、時計の精度を求めた結果そうなった、
という訳です。
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