時計を「学ぶ」ということ
どのような趣味であれ、その事に対する知識を深めるということは、楽しくも
あり、また、一線を超えると仕事のように胃を痛めるものでもあります。
私も時計というものを趣味としているわけですが、よく人に勘違いされるのが
「沢山の時計を購入しコレクションしている」類の趣味だと思われること
です。 実は私は、さほど多くの時計を所有しているわけではありません。
数えても、せいぜい30本程度でしょう。 持っている人からすればゴミみたい
な本数です。 当然、好きな時計ですから、沢山手元に置きたいという願望も
持ち合わせています。
ですが私は、それよりも、所有することよりもむしろ、自らの手で造り出し
たいのです。 道として時計学校に通い、時計店やメーカーのメンテナンス
部門に属して腕を磨く、という方法もありますが、自分は趣味の成れの果て
として自作の道を行くことにしました。
私の「時計が趣味」 とはそういうことなのです。
第一目標は、10年以内に3針スモールセコンドを素材から制作。
第二目標は、15年以内にトゥールビヨンを制作。
ルビーとゼンマイはおそらく外注になるでしょうが、他は自作します。
目標はフィリップ・デュホー氏のシンプリシティです。
問題は、どのようにして時計制作に関する知識を得るか?
正攻法は
「教科書を読み、手順を踏んで段々と学んでいく」
これが一番全うな方法ではないでしょうか。
しかし実際問題、この教科書にあたる本が非常に少ないのです。
今まともに手に入るのは「基礎時計読本」と「標準時計技術読本」くらい
でしょう。 かくいう私も「時計旋盤工作」という本を探しているのです
が、なかなか見つかりません。 (お持ちの方でもう不要という方が
いらっしゃれば1万円ほどで譲っていただきたいです・・・)
根本的にスタートの部分で躓いてしまっています。
では、どうするか?
私の考えた方法は「道具を知る」という手法です。
道具というのを「ある物をある状態にする物」と、
または「ある物がある状態になっているかを確認する物」と定義します。
それをひっくり返して考えるのです。
どういう事とかというと、
「物AをBという状態にするために道具Cを用いる」、この考えを、
「道具Cは、物AをBという状態にする」という考えに変換。
さらに、
「道具Cが存在する意味を知ることができれば、
物AがBという状態にあるべき、ということを知ることができる」
というように発展させます。
つまり、時計の道具をしっかり勉強することによって、
時計の部品がどのような状態でなければならないのかを
遡って知ることができるのです。
例として「出車抜き」という工具がある、これはすなわち
出車は圧入されている、ということを知ることができる。
幸い、ベルジョンなどの工具メーカーは、
便利な道具を沢山使ってもらおうと、様々な道具を発売しています。
物によっては「こんな道具使わなくてもできるよ」と思うものもありますが、
むしろ、知識が欲しい私にとっては手がかりが増えることになります。
用意されている道具の数が多ければ多いほど、
「物Aはこうあるべき」という情報が手に入るのですから。
ですから、このブログは「所有している時計の紹介」といった
見る人にとっては一番興味深いであろうコンテンツが多くありません。
今後、今回のような文字多めの眠たい記事が多発するかもしれませんが、
その時は、真面目に読まず、ぼんやりと斜め読みしていただければと
思います。
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