一生に一本しか時計を選べないとしたら
時計を趣味としている人は、時計を購入するとき、よく「一生に一本の時計に
出会った」などと、自分や家族に嘘を付くことがあります。
当然、趣味の事ですから、たった一本購入しただけで満足できるはずもなく、
直ぐに次に手にする時計を物色し始め、周りから冷たい視線を浴びることに
なります。
このブログを読んでくださっている方の中には、そんなループに陥って
しまっている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
もし、家族から「もう時計を買うのをやめて。
沢山持っているのにまだ買うの?
次に買う時計で本当に最後にしてほしい」と言われてしまったら・・・
これはもう、家庭崩壊の危機です。
アイデンティティー喪失の危機です。
そういう事態に遭遇しても取り乱さないよう、自分にとって「一生に一本」の
時計とはどのようなものかを本気で考察してみるのも良いかもしれません。
私の場合は、ラング&ハイネの「ヨハン」となりました。
シンプルな3針、スモールセコンド、ロービート18000振動。
ローマンインデックスにスペード針。
ポーセリン文字盤、オニオン竜頭。
梨地の3/4プレート。
チラネジ付きテンプ、スワンネック緩急調整針。
ネジ止めゴールドシャトン、エングレーブされたテンプ受け。
この簡素さと、ポイントを抑えた萌え装飾が素晴らしいです。
ここまでくると年月が経過しても全く飽きがこず、世代を超えて輝き続ける
時計となることでしょう。
よく、時計好きは最終的に「アンティーク懐中時計に行き着く」と言われる
ことがあります。
このヨハンも懐中時計リスペクトであり、それゆえ比較対象となる時計が
少々異なります。
敢えてパテック・フィリップと比べるならば、カラトラバではありません。
対象はパテック×ティファニーの懐中時計です。
ランゲ&ゾーネとも比べるならば、サクソニアではありません。
対象はアドルフ・ランゲの懐中時計です。
ラング&ハイネの時計は世代を超えて受け継がれるべき芸術作品であり、
ある一時代に存在した機械式時計というものの「標本」として
それを体現している時計だと、そう表現せずにはいられません。
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