故ジョージ・ダニエルズ氏を知る一冊
注文していた本がようやく届きました。
英国人時計師、故ジョージダ・ニエルズ氏
『A Master Watchmaker & His Art』
これは、ダニエルズ氏の時計だけでなく、彼自身を知る上で非常に重要な
資料となる本です。
お弟子さんであるロジャー・スミス氏との写真。
彼の遺した技術の素晴らしさは、もう言うことは無いですね。
私がダニエルズ氏に対して持っているイメージは、
なんだか「別の時代の人」という感じです。
作られた時計から受ける印象からでしょうか?
どうも、200年前の時計師が現代にタイムスリップしてきたような
そんなイメージなのです。
肝心の本の内容ですが、第一章は彼の生い立ちが書かれています。
どうやらクラシックカーがお好きなようで、
愛車に載っている写真もありました。
第二章は、作られた時計達の紹介。
この章は時計好きには嬉しい、手書きメモが満載です。
これはガンギ車が二つある脱進機ですね。
こちらの時計は表紙にもなっている「スペース・トラベラー」
・63mm
・18金イエローゴールド
・クロノグラフ
・インディペンデント・ダブルホイール脱進機
・マニュアルカレンダー表示
・ムーンフェイズ表示
・平均太陽日時表示
・恒星時表示
・均時差表示
・1982年
さて問題。
この懐中時計、お値段はいくらでしょうか?
時計に詳しい方はご存じかと思いますが、昨年の11月、
彼が制作した時計がサザビーズ・オークションに出品されました。
そこで最高値を付けたのが、このスペース・トラベラーです。
落札価格は1,329,250英ポンド (予想落札価格の2倍)
2012年11月当時、1英ポンドは月平均で132円でしたので、
1億7,546万円ということになります。
ちなみにこの記事を書いている2013年5月は1英ポンド=156円ですので、
半年タイミングがずれれば2億767万円・・・
どうやらこの時計、ダニエルズ氏のお気に入りだったようですね。
オメガが行ったインタビュー記事によると、特に気に入ってる時計が2つ
あって、そのうちの一つだったとのことです。
本の中には、インディペンデント・ダブルホイール脱進機のメモも。
こちらはコーアクシャル・トゥールビヨン。
溜め息が出るほど美しいですね。
そしてそして、マニアには嬉しい分解図(笑)
こちらは4分で1回転するトゥールビヨンを搭載した時計。
確か、ブレゲの開発したトゥールビヨンも最初は4分で1回転だったかと
思います。
こちらは腕時計タイプの4分1回転トゥールビヨン
「Wristwatch Ⅰ」
う~ん、写真が本当に綺麗です。
この本は200ページのボリュームがありますが、上質なカラー写真が沢山掲載
されており、非常に満足度の高い一冊となりました。
巻末のダニエルズ氏の写真も素敵ですね。
何分、洋書ですので読むのに多少時間はかかりますが、その内容の濃さに
本当に時間を忘れてしまいます。
これは買ってよかった。
ジョージ・ダニエルズ「A Master Watchmaker & His Art」
コメント
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コメント (2)
NEEZさん今晩は。
時計に関する書籍は本当に数が多いくせに
入手困難なものが多く、
図書館で借りて来れるようなものは少ないですよね。
今回のダニエルズさんの本は私も気にしていた一冊でした。
今読んでいる本を読み終えたら
是非買ってみようと思います。
ためになる記事をありがとうございました。
wakmanndiverさん、こんにちは。
こちらの本は写真も綺麗で、資料としては完璧です。
日本での時計の本の入手は本当に厄介ですね・・・
最近では海外からの通販でようやくなんとかなりましたが、
逆に、日本で新たに発行される専門書籍は皆無です。
既刊本を入手しようにも絶版はのはあたりまえ、
さらに古本屋でプレミアムが付き10,000円以上はザラ。
私個人としては、時計師の本間さんあたりに
技術書の決定版となるような本を500ページくらいのボリュームで
是非書いて欲しいと思っています。