トゥールビヨンを分解しました。その3「組み立て復活編」
回転部分の根本の調査で始めたフライング・トゥールビヨンの分解。
なんとか構造は把握できたものの、
己の不注意でアンクルの爪石を取ってしまいました・・・
あらら
さーて、どうしたものか。
とにかく考えよう。
パーツのストックが無い以上、直すしか方法は無い訳ですが、それでも道具が
必要です。加えて自分にはまだ修理ノウハウがありません。
当然、出来るようにはなるつもりですが、やはり問題は「道具」と「知識」
です。
まず、無いもの。
・アンクル爪石調整器
・シケラック(接着剤)
・シケラックを溶かすヒーター、またはコテ
・アンクルの停止量を調整するノウハウ
爪石調整器は買うにしても10万以上はします。
それなりの値段ですので今直ぐ購入というわけにはいきません。
ノウハウに関してはもう経験を積むしかないのですが、
この点は逆に、今日がその最初の経験だと考えれば、むしろモチベーションが
上がります。
知識を収集し、経験して覚える。
この状況はむしろ望ところ。
とは言え、
やっぱり道具の未所持がネックか・・・
う~ん、スペアパーツを持っていればなー
別に下図のように変な形をしていない普通のスイスレバーなのに・・・
・
・
・
ん?
普通の形?
普通のスイスレバー!?
そうだ!
普通の形状なら他のムーブメントからアンクルを移植すればいいのでは!
たしか同じシーガル社でST-19のガラがある。
しかもST-19はTY-800と振動数が同じ21600振動だ。
ということは、拘束角も52°で同じはず!
これはイケる!
早速取り出し―
並べる。
キター!
同じだー!!
えっと、不注意で取れてしまった爪石は片方だけだったのですが、
もう一つの爪石はどれくらいの力で取れてしまうのか興味本位で
毟り取りました(笑)
こうして並べると、流石にアンクルの仕上げはトゥールビヨンのほうが
良いです。少しグレードは下がりますが、これはご愛嬌。
第三者に売ることも無いので問題なし。
よしよし。
これは動く、と確信したので猛烈な勢いで組み立て。
~ 20分後 ~
動いたー!!
いやー、すっかり元通りです。
一時は変な汗をかきました。
爪石調整を経験するチャンスは逃しましたが、また今度にしましょう。
組み立て時、メービスの9010を塗りました。
なんだか凄い勢いでテンプがぎゅんぎゅん振れています。
購入してから4年?は経っていた気がするので油が切れていたのでしょう。
今回のこの分解で大そうなOHでなく日頃のメンテナンス程度でしたら
トゥールビヨンの注油も自分で出来ることが分かりました。
転んでもただじゃ起きない。
意地でも何か拾ってやる。
あー、疲れた・・・
コメント
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コメント (2)
本当に職人さんではないのですか?
このページを見ながら思ったのですが 爪石が外れたときは目打ち台の上にホゾ真をいれ
シゲラックを外さずシゲラックの付いていた位置に 爪石を戻し
すると 石の向き深さがそのまま以前の場所に戻ると思います
そして 小さい電器半田コテを近付けるとシゲラックは溶けると思います。
このブログを見たのはたまたま クロック(清時代の置時計)のカナが磨り減り
どこかで カナを造れる所が無いか検索中でした。
当方 時計店です 旋盤はいつも使っています。
中島様
当方は単なる素人で趣味として時計をイジっています。
ですが、10年、20年後の将来はジョージ・ダニエルズ氏や
フィリップ•デュフォー氏のように全て素材から削り出しで
一から時計を制作したいと思っています。
爪石の件、アドバイスありがとうございます。
あの時は動転してしまっていて、経験不足ということもあり、
正常な判断ができないでいました。
いくつかセイコームーブメントのガラがありますので、
意図的に爪石の接着テストしてみようかと思います。
>このブログを見たのはたまたま クロック(清時代の置時計)のカナが磨り減り
>どこかで カナを造れる所が無いか検索中でした。
清時代とはまた凄いですね!
カナを制作できるかわかりませんが、
三井堂の安田さんという方が柱時計、置き時計の世界で
結構有名だという話を聞いたことがあります。
http://www.mitsuido.com/shige.htm
もしかしたら、なにか進展が期待できるかもしれません。
>当方 時計店です 旋盤はいつも使っています。
本職の方にこのようなブログを見られるのは実に恥ずかしいです(笑
また機会がございまたら寄ってくださいませ。