ETA供給問題に関して、スイス側の現在
スイス放送協会のサイト swissinfo.chより、ETAに関する記事です。
時計業界で続く巨大グループの対立
www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=36732284
こちらに「ETA供給問題」が現在どうなっているのかが書かれていました。
2002年、
スウォッチグループが発表した「完品以外のETAは供給しないよ」問題。
おまけに時計の心臓部であるヒゲゼンマイを製造しているニヴァロックス製品
も供給しなくなるという発言も。
その発表に各時計メーカーは大慌て!
なにせ、スウォッチグループからETAムーブメントを購入して搭載すれば
安価で簡単にスイスメイドが付き、それなりの値段で販売できていたのです
から。
とまぁ、その混乱っぷりは各メディアやブログなどを見ていただければと
思いますが、問題はその後です。
供給停止の発表から10年が経過しています。
ここで疑問。
現在はどうなっているのか?
swissinfo.chがズバリ書いてくれました。
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~ 10年以上も続く対立 ~
2002年スウォッチグループ(Swatch Group) が、グループ外へのエボーシュ(機械式時計の未完成ムーブメント)提供を段階的に停止していくと発表し、時計産業というミクロ社会に衝撃を与えた。
2009年、スウォッチグループの故ニコラス・ハイエック社長(当時)は、今後同グループ製の時計部品をグループ外企業に供給しない意向を宣言する。これに対し、スウォッチグループの系列会社エタ社(ETA)とニヴァロックス社(Nivarox)にムーブメント供給を依存していた時計メーカーの間で、激しい抗議が起こった。
2011年6月に公正取引委員会コムコ(COMCO)が調査を開始し、スウォッチグループは2012年以降グループ外顧客への部品供給を削減してもよいとする仮決定を下す。
2013年の春、機械式ムーブメント(時計駆動に必要な部品)とムーブメント中心部一式(機械式時計の心臓部である調速機)のグループ外顧客への段階的な供給削減を計画するスウォッチグループとコムコ事務局との間で同意書が交わされる。
7月12日、コムコが同意を撤回する。市場競争の監視役であるコムコは、ムーブメント部品の段階的な供給削減は認めるが、現時点ではニヴァロックス社製のヒゲゼンマイの代替品が存在しないことから、ムーブメント中心部一式に関しては供給削減許可を取り消した。
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結論からいうと、
現在もスウォッチグループと公正取引委員会との間で協議中
といったとことでしょうか。
これまでの時計業界のETA&二ヴァロックス製ヒゲゼンマイの依存度は
かなりのものがありましたから、当然スイス当局としては産業を守る方向で
動いています。
かたやスウォッチグループは、ライバルを排除したい。
双方の考えは理解できます。
swissinfo.chの記事内でインタビューに答えているピエール・イヴ・ドンゼ
教授は、「大手グループは、実際は製造がそれほど困難でもないヒゲゼンマイ
を製造するのに十分な資金力を持っている。中には、その製造手段への投資を
怠ってきた」と語っています。
スウォッチグループの立場からしたら、リシュモンとヴィトングループは、
ヒゲゼンマイの製造はそれほど困難ではないのに設備投資を怠ってきた。
だから、困るのは彼らの勝手だ。という考えなのでしょうね。
記事の中には他にも以下のことが書かれています。
・「スイスメイド」に関わるのはムーブメントと最終的な組み立てのみ。
・デザイン面でも「スイスメイド」の品質を守られていない。
・ケース、文字盤、ブレスやバンドのほぼ全てが中国で製造されている。
・中国やタイではETAとほぼ同等のムーブメントを製造できる。
中国製造の脅威についての話が出てきましたね。
かなりのぶっちゃけですが、事実に即していると思います。
今こういうことを言葉に出して言えるのは、やはりスイス時計産業が抱える
危機感から来るものなのではないでしょうか。
ETA問題の現在。
とりあえず現状が判明しモヤモヤしていたものが無くなりました。
それと他の記事ですが、自分はこちらの題材にも興味を持ちました。
「最高の時計修理師を目指す元自衛隊員」
www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=27025020
「中国製の最高級偽時計、スイス時計産業の脅威に」
www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=33047486
「不景気に挑むスイスの時計」
www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=31921164
単なる、スイス製時計は凄いよ良いよのヨイショ記事ではなく、
スイス内部で今起こっている問題を率直に記事にしている
とても公平で良心的なサイトですね。
「swissinfo.ch」、時計好きにはかなりお勧めのサイトです。
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